源氏物語ウェイリー版第4巻の読書会を行ったので、その議事録をまとめた。 ・浮舟こそ初めて自立した女性して描かれた人物なのではないか? 薫と匂宮の両者と関係を持ち出口の見えない葛藤を経験をする中で、死に取り憑かれていく浮舟。 一命を取り留めた後…
2024年4月16日更新 【60代 女性】 ・教科書で習ったのにタイトルしか知らなかった名著を読んでみたかったが、1人では読破できそうになかった。時限付きの読書会で自分を追い込む事へのメリットがある。 ・他人の意見を聞く事によって違う視点からの理解が出…
Klara and the Sun、洋書マラソン6冊目 読書期間 2024年1月から3月18日 ページ数は340ページ。 英語の小説としては読みやすい方だったと思う。 一部、難しい表現は確かにあったが。 例えば、遺伝子編集の手術を受けた子供を表すliftedを和訳版では「向上処置…
源氏物語ウェイリー版第3巻の読書会を行ったので、その議事録をまとめた。 ・面白そうな箇所をピックアップして、ウェイリーの英訳と姉妹訳とを見比べてみた。 As the weeks "vent by, the child grew more and more attractive, and before long even the' …
古典の解説書よりも古典を読むべきだと思う。 ある時期、古典の解説書をたくさん読んでいた。 世の中にはアリストテレス入門、マルクス入門、という類のものがたくさんある。 その手の入門書を貪り読んでいた時期がある。 ある時、年末に本棚の掃除をしなが…
今回は『源氏物語ウェイリー版』の第2巻について、読書会を行ったので、その議事録をまとめた。 今回もペンギン社が作っている読書会用の質問から始まった。 https://www.penguinrandomhouse.com/books/297312/the-tale-of-genji-by-murasaki-shikibu/978014…
今年は日本の古典を読む年した。 1月は、源氏物語のウィリー版の第1巻について読書会を開催した。 以下、議事録である。 大河ドラマ『光る君へ』を観ている参加者もいた。 以下、例会での議論の一部を要約した。 議論の導線として世界的な出版社であるPengui…
作品のアマゾンリンク https://amzn.to/4aGwJDf 『千夜一夜物語』バートン版第2巻の読書会の議事録を公開する。 ・せむしの男の物語の床屋について。迷惑な人物ではあるが、知恵者であることも否めない不思議な登場人物。ヨーロッパの昔話に出てくる愚者を装…
洋書マラソン 五冊目 読書期間は2023年9月から12月。 432ページ。キンドルで読了。 オックスフォード英語辞典の初版の作成過程を追った歴史小説である。舞台は19世紀終盤から20世紀初頭のイギリス。主人公は辞書編集者の娘であり、名前はエズメという。 最初…
『千夜一夜物語』バートン版 第1巻の読書会での議論の一部を要約した。 ・近代以前にできた作品 この物語は近代以前のもの。個人の内面世界を描くことはしない。個人を書くのではなく、話がどんどんどんどん展開してく。落語などの芸の世界に通じるものがあ…
先日行われたハディースの日本語訳、『ムハンマドのことば』小杉泰の 読書会の議事録の一部を共有したい。 イスラーム初期の宗教の政治利用についてどう考えるか?ムハンマドにはそこまでの政治的野心があったとは思えない。全てが政治的な動機からことが起…
洋書マラソン4冊目 読書期間 2023/3/3-2023/8/2 907ページ 16世紀後半のプロテスタントの隆盛を主にイギリスとフランスを舞台に描いた歴史小説。 ケンフォレットのキングスブリッジシリーズの第三作目。 歴史の教科書ではサンバルテルミの虐殺でたくさんのユ…
※上が岩波上巻、下が下巻 2つの時間が交互に行き来する物語。 1930年代スターリン政権下のソ連を舞台とした"巨匠"という作家とそのパートナーのマルガリータの物語。並行して展開するもう一つの物語、2000年前のヨシュアとピラトゥス総督の話が交互に展開す…
なぜ古典を読むことが大事なのか?シリーズその3の投稿となる。 教養は古典を中心に積み上げるべきだと思う。 なぜならコンテンツが変わらないから。 コンテンツが分からないものを教養の中心に据えるべきだと思う。 その意味で、中学高校や高校の教科書も…
なぜ古典を読むのか? 前回の投稿では、古典読書を通して著者の魂に触れること、著者の生命力に触れることで豊かな感性を養い、耕された情緒こそがが人類の恒久平和の土台になるのではないかと書いた。 ここではまた違った観点から古典の重要さを語ってみた…
栄養関連でエビデンスと調査方法がしっかりとしている本を探している時に見つけた。 疫学的研究に基づく。 疫学はメカニズム把握の学問ではない。 動物実験を用いて生命体の細胞のメカニズムなどを解明することが目的の学問ではない。 動物実験を行うメカニ…
洋書マラソン3冊目 2022年10月から2023年2月に読書 1025ページ The Pillars of Earth の続編でキングブリッジ3部作の二作目。 14世紀の中世イギリスが舞台。 主人公は貴族の息子2人、農民の息子、商人の娘の4人でいわゆる当時の普通の人々。 主人公たちの…
知的な創作に関わっている方は参考になることが多いかもしれない。 トッドはあくまで自分が納得していることを書いていると感じた。 データに忠実。データを社会階層、家族類型、経済的地位などの観点から分析しているだけ。しかし本当に忠実にそれができる…
私は本書を自己啓発本と考えた。 この自己啓発書は特殊な自己啓発書である。 多くの自己啓発書は資本主義社会を前提している。 そこである一定の世界観が前提されており、 年収が上がるのがゴール 昇進するのがゴール 好きなことをしてお金持ちになるのがゴ…
私は古典文学の読書会を運営しているくらいなのでノンフィクションとフィクションを比べたら、フィクションの方がすごいと暗に思っていた。 そんな思い込みを見事に破壊してくれた素晴らしいノンフィクション。第32回大宅荘一ノンフィクション賞受賞作。 著…
洋書マラソン 2冊目 2021年年末に読了 215p 洋書小説に慣れていなくても短いので読了しやすいと思う。 邦題は『月と6ペンス』 画家ゴーギャンの人生がモデル。 主人公ストリックランドの性格はやはり英語の方が掴みやすい。 日本語だと少しクセのある性格…
洋書マラソン その1 2022/5/23-10/3 の約3ヶ月で読んだ。1070ページ。 舞台は12世紀のイギリス。当時の教会を中心とした暮らしを想像する上でも良い作品。 ロマネス様式からゴシック建築への移行が描かれている。 主人公を美しい大聖堂を建築することを夢見…
参与研究の強みが存分に発揮された作品と言える。 ビックデータ時代の今日、アンケートに基づく統計調査は社会科学の上等手段だろう。 しかし、当たり前にすぎることはしばしばアンケートには書かれない。 つまりビックデータにのってこない情報がある。 言…
チェーホフのテキストは喜劇だと考えると随分とふに落ちるところがあるように思います。 一見シリアスな話に見えるところが多いにあります。 例えば、ワーニャ伯父さんがピストルで発砲する殺人未遂シーンです。 しかし1歩引いてみると喜劇に見えてきます。 …
なぜ古典が大事か? 古典にはお金で買えない価値があるから。 そこには数値化することができない芸術的、美的価値があるから。 資本主義が高度に進み、あらゆるものが商品化される現代では欲望を満たすそうと思えば色々なものが安価に手に入りやすい時代にな…