古典文学読書会のブログ

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World Without End by Ken Follettを読む  洋書マラソン〜その3〜

洋書マラソン3冊目 2022年10月から2023年2月に読書 1025ページ

 

The Pillars of Earth の続編でキングブリッジ3部作の二作目。

 

14世紀の中世イギリスが舞台。

 

主人公は貴族の息子2人、農民の息子、商人の娘の4人でいわゆる当時の普通の人々。

 

主人公たちの子供時代から始まり、彼らが成人し、中年になるまでが描かれている。

 

フランスとイギリスの間で戦われた100年戦争やペストの様子を歴史小説を通して知りたい方はおすすめ。

 

特に中世のキリスト教を中心とした社会に興味がある人は楽しめると思う。

 

ペストはコロナの比ではない破壊力で、もし感染したら大抵死んでしまう。

 

当時の人口はだいたい半分になった。

 

結果、労働力不足となり、当時の農奴(自由を制限された農民。土地に縛られ、移転の自由を持たない)が貨幣を支払うことで土地を自由に借地できるようになるなど、のちの資本主義の萌芽的状態が誕生した社会変革のきかっけとなった出来事がドラマチックに描かれている。

 

ペストに対する対応は現代の疫病への対応と類似する点が多いと思った。手を消毒したり、街を閉鎖して外からの人間の流入を禁じることなどは2020年代初頭のコロナ対策でもみられたが、それが600年前のペストの時も行われていたようである。

 

洋書の長編小説の読破は2冊目だが、英語の世界になれてくると下手に海外旅行をするより小説を原語の英語で読んだ方が異文化体験になっているようにも思えてくる。外国語がだいぶ自分に近いものになってきつつあるのかもしれない。